人生100年時代、ひとつの会社会社で一生勤める人という従来の働き方から、複数の会社・職業を経験しキャリアを積み重ねる働き方を選択する人が増えてきています。
しかし、転職先がいわゆる「ブラック企業」だった場合、キャリアを積み重ねるどころか苦痛な毎日を過ごす、最悪の場合メンタル疾患を患ってしまうこともあるでしょう。
そんな最悪の事態を未然に防ぐために転職先は慎重に選ぶ必要があり、転職先を探す手段として「求人広告」は重要な情報源となります。求人広告の企画営業に20年携わっていた筆者が、応募してはいけない企業を求人広告から見抜く方法を紹介します。
求人項目「キャッチコピー」から見抜く!
【あなたの能力を正当評価!頑張りに応じて収入UP!】←このようなキャッチコピーを出している企業は「能力=結果を出さなければ評価しない」という表現と解釈しましょう。ここでいう「収入UP」とは歩合給やインセンティブを指すことが多いと思われます。普段のあなたのプロセスを、上司がきっちり観察し公正な評価をしてくれて収入がUPする、という意味ではありません。あくまでも「結果」に対する報酬を指しているという事を覚えておきましょう。このような「結果至上主義」の企業は目に見えない貢献やあなたの成長を評価してくれる企業ではないでしょう。
【幹部候補生募集!チャンスがたくさんある会社です】←幹部候補生をわざわざ求人広告を出してまで募集するということは、「既存社員の中には幹部を目指して頑張る社員がいない」または「幹部候補として評価されている既存社員がいない(少ない)」ということが読み解けます。帰属意識が低く会社からも評価されていない社員が多い企業で、あなたが幹部を目指していきいきと働ける可能性は低いでしょう。
求人広告内の「写真・エピソード」から見抜く!
【サークル活動・旅行・飲み会など遊びの写真やエピソードばかり】←社員が遊んでばかりいるのに給与を支給する企業は存在しません。求職者が魅力に感じる・アピールできる仕事エピソードがないため、日々の過酷な業務やつらいノルマから解放されている瞬間をアピールしているに過ぎないと捉えましょう。さらには、社員が喜ぶレクリエーションをたくさん企画することによって、日々の不平不満を抑えている可能性もあるので注意が必要です。
求人項目「給与」から見抜く!
【月給20万円~月給100万円※経験や能力により高収入可能】←このような表記をしている企業の月給は「20万円」と考えましょう。「この表記だと月給50万円くらいはもらえそうだな」というのは勘違いです。表記に「経験や能力により」とある通りベテラン社員が歩合給を含んだの一時的な過去最高給与額を表記してると推測されます。求人広告の給与表記は下限給与には厳しいが上限には寛容、つまり上限金額が高額な場合は釣り金額であるケースが多いと覚えておきましょう。このような求職者に誤解を与えるような「高額の釣り給与額」を表記する企業は、求職者に誠実な企業ではないでしょう。
【能力に応じ随時昇給】←「能力を発揮すればいつでも何回でも昇給するので頑張りがいがあるな」と誤解しがちですが、随時昇給する時期や基準が不明確ということは、いつまで経っても昇給しないということもあり得るということです。つまり昇給は「能力に応じて」ではなく「気まぐれで」実施されるということです。このような基準が不明確な表記を堂々とできる企業は、あなたの能力を随時評価し随時昇給してくれる企業ではないと認識しましょう。
求人項目「歓迎表現」から見抜く!
【未経験大歓迎!OJT研修があるから安心です】←「少しでも経験のある方が入社してもらい、教える手間を省きたい」というのが募集企業の本音です。にもかかわらず未経験を「大」歓迎するという事はなんらかの理由で応募人数が少ない企業と疑いましょう。また、OJT研修とは「実際の職場で実践を通じて知識を身に付けること」で「未経験のあなたがわからないことを研修で教えてもらえる」ということではありません。つまり「未経験のあなたを教えている暇はないので、現場で先輩のやっていることを自分の目で見て覚えてください」という意味と解釈しましょう。このような何らかの理由で応募人数が少なく、なにもわからない未経験者を育成する体制も整っていない企業で、あなたがいきいきと働ける姿を想像することはできないでしょう。
【20代の若手社員多数!男性(または女性)が活躍する職場です】←求人広告では年齢制限をして募集をしたり、男性女性など一方の性別に限定して募集をすることは法律で禁止されています。従って20代の男性(または女性)を採用したい企業はこのような表記をします。多様な雇用を求められる時代に対応できず前時代的な雇用から脱却できない企業が、あなたの転職先として将来性を期待できる企業とは考えにくいでしょう。
求人項目「応募方法」から見抜く!
【応募随時受付中。日曜祝日や21時以降の面接も可能】←一見応募者に優しい対応に見えますが、応募者を受け付けるためにこの企業の社員さんは日曜祝日でも出社したり、21時以降も対応のため残業されていることが想像できます。もしあなたがこの企業に転職をした場合、面接者の対応のためだけに残業や休日出勤を命じられれる可能性もありそうです。このような社員の勤務時間や休日への配慮に乏しい企業への応募は見送るのが賢明と言えるでしょう。
【即日面接・即日入社可能】←転職活動がうまくいっていない方にとって、即日の面接や入社はありがたいと思われるでしょう。しかし、このような表記をする企業は「社員が少なくて業務が追いついていない。だから一刻も早く新しい社員に入社してほしい」という事情がありそうですが、その背景には「定着率の低さ」や「後任が決まっていないにも関わらず退職をしてしまっている」ひいては「一刻も早く退職したくなるほど居心地の悪い企業である可能性が高い」と思われます。転職先を選定するにあたり、社員の定着年数はブラック企業か否かを見極める重要な指標のひとつです。他にも社員の定着率が低い企業が好むコメントに「入社祝い金支給」「積極採用中」「急募」「スターティングスタッフ募集」などがありますので注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ここに記した内容はあくまでも「求人広告」での見抜き方を紹介したもので、100%正しい解釈ではありません。求人広告の印象にプラスして直接訪問した際の会社の印象や面接でのやりとりを通じて、あなたの目と感性でしっかり見極めることが大切です。
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